卒業生の恵子ちゃん
卒業生の恵子ちゃん
卒業生の大石恵子さんが遊びに来てくれました。現在はドイツのオルデンブルクのバレエ団に所属しています。昨年まではダンサーで活躍していましたが、現在はバレエマスターとしてディレクターと一緒に振り付け、指導、に抜擢されました。
毎年、夏休みに日本に帰ってくると必ずフジタバレエを訪ねてくれます。
16歳でハンブルクのノイマイヤーさんのバレエ学校で学んでいた時にノイマイヤーさんのバレエ団公演の「リーズの結婚」のヒヨコ役に学校生徒の中から抜擢されて踊ったことがありました。私は偶然、その舞台を観ていて着ぐるみのヒヨコの足が「恵子ちゃんだ~」とすぐにわかりました。大昔の思い出話です。
コンテンポラリーを得意とするダンサーでしたが、クラシックバレエも丁寧に踊る人でした。
ヨーロッパのバレエ団は世界中から集まっているダンサーのチームです。そんな中から日本人女性でバレエマスターの役を仰せつかった恵子ちやんに敬意を表します。
きっと日本的感性を持つ彼女ですから選ばれたのでしょう。
恵子ちゃんが嬉しそうに話しをしてくれました。
「私は日本を離れて20年になりますが、子供の頃にフジタバレエで教わった礼儀作法は今も身体と心に残っています。」そう言って、幼児科さんの踊りを長い時間見てくれました。
恵子ちゃんからの生徒さんに夏のお菓子のたくさんの贈り物に、みんな大喜びです。
帰りに、西鉄久留米駅の東ロータリーまで送って行きました。車のドアを両手で閉めて、深々と頭をさげてのご挨拶でした。猛暑の午後でしたが、後ろを振り返ると恵子ちゃんはきちんと美しく立って見送ってくれてます。
驚いたのは、ロータリーの端っこの赤信号で停まっている私が乗ってる車が動きだすまで、炎天下の中に笑顔でした。そして最後に手を振ってくれました。
恵子ちゃんの舞台上の笑顔も素敵でしょうけど、私は見送ってくれた時の笑顔を忘れず、一年後の再会を待っています。
藤田美知子